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クレープ屋の廃業率は?キッチンカー383台を5年追跡して分かったこと

キッチンカーでクレープ屋を始めたい、という相談をよく受けます。

そのとき必ず聞かれるのが「実際のところ、どれくらいの人が続いているんですか」という質問です。

正直に言うと、この質問に答えられる資料がありません。飲食店の廃業率という統計はありますが、店舗を構える飲食店とキッチンカーでは、初期費用も家賃も、そもそもの成り立ちが違います。その数字を持ってきて「キッチンカーはこうです」と言うのは、私には無理があると思っています。

そこで、自分で調べることにしました。

2020年から2025年までの5年間、Instagramでクレープのキッチンカーを見つけるたびにExcelに記録し、その後どうなったかを追いかけました。383台になりました。

この記事では、その調査結果と、私自身が本部として見てきた数字を、どちらも隠さずに書きます。


Instagramで追いかけた383台が、5年後どうなったか

まず結果から書きます。

状態台数割合
現在も営業が確認できる128台33.4%
閉店の告知があった56台14.6%
更新が止まり、活動が分からない199台52.0%
合計383台100%

「営業が確認できる」というのは、出店スケジュールを上げているか、最近の投稿があるお店です。

ここで正直に書いておきたいことがあります。

一番多いのは「分からない」です。 199台、全体の半分以上が、更新が止まったまま何も分からなくなっています。

この199台を廃業として数えれば、廃業率は66%になります。数字としてはインパクトがありますが、私はそう書きたくありません。Instagramをやめただけで、今も元気に営業しているお店が含まれている可能性があるからです。実際、軌道に乗ってからSNSの更新が止まる人はいます。忙しくなれば、そうなります。

なので、こう書きます。

5年前に始めたクレープのキッチンカーのうち、今も続いていると確実に言えるのは、3台に1台です。

残りの3分の2は、辞めたか、分からないか、そのどちらかです。


私の会社の数字も出します

他所の数字だけ出して自分のところを出さないのはフェアではないので、こちらも書きます。

サニーズは2007年に始めて、これまでに48店が加盟しました。そのうち現在も営業しているのが34店です。

継続率は70.8%。裏を返せば、14店が辞めています。

「70%も続いているならすごい」と思われるかもしれませんが、私はこの数字を手放しで良いとは思っていません。14人の方が、何らかの理由でクレープをやめたということです。

その14店の内訳を書きます。

辞めた理由店数
高齢のため2店
転職3店
家庭の事情3店
半年以内に閉店2店
売上不振による廃業4店

上の3つ、合わせて8店は、事業がうまくいかなかったわけではありません。年齢や家族の事情で、区切りをつけられた方たちです。長く続けてくださった方も含まれます。

事業として立ち行かなくなったのは、下の6店です。全体の12.5%。

このうち半年以内に閉店した2店については、私の責任だと思っています。1件は会社として始められたケース、もう1件は個人の方でしたが、今思えばこの仕事に向いていなかった。人と話し続ける仕事が苦手で、細かいことが気になってしまう方でした。それを開業前に見抜けなかったのは、私の力不足です。


同じ5年間で比べると

Instagramの調査は2020年から2025年の5年間です。サニーズの48店は2007年からの通算なので、そのまま並べても比較になりません。期間が違いすぎます。

そこで、同じ5年間で切り直しました。

2020年から2025年に開業したのは15店。うち閉店は1店。14店が続いています。

割合で言えば93.3%ですが、この数字はあまり強調したくありません。

理由は単純で、母数が15しかないからです。あと1店辞めれば86%になり、2店で80%になります。383台と比べると、規模が25倍違う。この15店だけを見て「サニーズは続く」と言い切るのは、無理があります。

それに、この5年はコロナでキッチンカーが一気に増えた時期でもあります。383台の中には、準備が整わないまま始めた方も相当数いるはずです。条件が同じとは言えません。

さらに、調べ方も違います。自社の34店は私が全部把握していますが、他所のキッチンカーは投稿があるかどうかでしか判断できません。同じ基準で数えているわけではない。

そのうえで、数字としてこれだけの差が出ているのは事実です。それをどう受け取るかは、読んでいる方の判断だと思っています。


開業して1年目に、ほぼ全員が通る道

ここからが本題です。

続く人と続かない人で、何が違うのか。それを考える前に、最初の1年に何が起きるかを書いておきます。これはサニーズの加盟店でも、個人で始めた方でも、ほとんど同じです。

出店場所が決まらない。

車が完成しても、売る場所がなければ1円にもなりません。この場所探しに、思っている3倍の時間がかかります。

場所が決まっても、思ったほど売れない。

「ここなら人が多いから売れるだろう」という予測は、だいたい外れます。人通りの多さと、クレープが売れるかどうかは別の話です。

お客様のほうから来てくれない。

これが一番しんどいところです。常連さんがいない状態で始まるので、最初は誰も自分を知りません。「あそこにクレープ屋が来る」と認識されるまで、同じ場所に何度も通う必要があります。数か月では足りないこともあります。

イベントの募集に間に合わない。

大きなイベントは、半年前には出店者が決まっています。「来月のあのお祭りに出よう」と思っても、もう締め切られています。

どのイベントが売れるか分からない。

人が集まるイベントと、クレープが売れるイベントは違います。これは経験がないと判断できません。

どれだけ仕込めばいいか分からない。

少なすぎれば売り切れて機会を失い、多すぎれば捨てることになります。この読みが外れ続けると、利益が消えます。

提供が遅くて、売上が伸びない。

行列ができても、焼くのが遅ければ売上は上がりません。むしろ待ちきれない人が離れていきます。1枚あたり何十秒の差が、一日の売上を大きく変えます。

この7つは、避けて通れません。問題は、これを1人で乗り越えるのか、答えを知っている人が隣にいるかです。


続かなかった店に、共通していたこと

383台を追いかける中で、実際に食べに行った店もかなりあります。その経験から言えることを書きます。

批判するつもりはありません。私自身、始めた頃はうまくいかないことだらけでした。ただ、外から見ていて「ここが分かれ目だな」と思う点があるので、それを書きます。

生地で決まる部分が大きい

クレープミックスを使うか、粉から配合するか。ここで味は決定的に変わります。

ミックスは失敗しません。誰が作っても同じものができます。ただし、どの店も同じ味になります。「あの店のクレープが食べたい」と思ってもらう理由が、生地では作れません。

独学のレシピで始めると、自分の味が正しいのかどうか、判断する基準を持てないまま進むことになります。 おいしいと言ってくれるのは友人と家族です。それを信じて1年やってしまうと、修正が効かなくなります。

材料の選び方で、リピートが変わる

ホイップクリーム1つで、食べたあとの印象が変わります。安く仕上げれば原価は下がりますが、「もう一度食べたい」とは思われません。

クレープは客単価700円前後の商品です。1回来てもらうのは簡単ですが、2回目があるかどうかで売上がまったく変わります。

焼き機で、提供スピードが決まる

簡易的なコンロで焼いている店を何度か見ました。1枚焼くのに時間がかかり、行列が進みません。

先ほど「提供が遅いと売上が伸びない」と書きましたが、その原因の多くは技術ではなく設備です。

見た目で、足を止めるかどうかが決まる

これは意外と見落とされます。

幟、メニュー表、車両のデザイン。ここの作り込みで、通りかかった人が足を止めるかどうかが変わります。味が良くても、まず立ち寄ってもらえなければ味を知ってもらえません。

「おいしそうに見えるか」「繁盛していそうに見えるか」。この2つは、実際の味や売上とは別に、意図して作る必要があります。


ネットに書かれていないこと

ここまで読んで、「じゃあどうすればいいのか」と思われたかもしれません。

正直に言います。この記事に書いたのは、何が重要かという話までです。どうやるかは書いていません。

InstagramにもYouTubeにも、クレープの情報はたくさん上がっています。私も見ています。ただ、本当に売上を左右する部分の情報を見たことは、ほとんどありません。

生地の配合、焼きの手順、仕込みの量の決め方、出店場所の見極め方。この辺りは、どこにも出ていないと思います。だから、それを持っている人が残ります。

意地悪で書かないわけではなく、これがサニーズが続いている理由そのものだからです。私が全部書いてしまえば、加盟している34店の価値がなくなります。

代わりに、書ける部分は書きます。

続いている人に共通しているのは、一人でやっていないことです。

サニーズには34店のオーナーがいます。新しいメニューを試した人、いいイベントを見つけた人、失敗した人。その情報が全部回ります。誰かが1年かけて分かったことを、他の33人は聞くだけで知ることができます。

個人で始めると、これが全部自分の経験になります。 時間がかかります。その時間を持ちこたえられるかどうかが、3台に1台という数字の正体だと思っています。


それでも、個人で始めるのは悪くない

ここまで書いておいて何ですが、個人で始めることを否定するつもりはありません。

実際、私が追いかけた383台の中にも、5年続けて立派に営業している方が128台あります。自分の力だけでやり切った人たちです。

私自身も、始めたときは誰にも教わっていません。うまくいかない時期を長く過ごしました。その経験があるから、今こうして書けます。

ただ、独学だと時間がかかるのは事実です。 その時間を短縮したいのであれば、フランチャイズという選択肢もあります。

もし話を聞いてみたい方がいれば、フランチャイズ加盟のご案内に、費用も収支の目安もすべて書いてあります。加盟した方が実際にどうだったかについては、加盟して続かなかったケースのほうに正直に書きました。良いことだけを書いた記事ではありません。

始めるかどうか、どう始めるか。決めるのはご自身です。この記事が、その判断の材料になれば嬉しく思います。


この記事の数字について