クレープのフランチャイズで失敗する人|本部が自社の廃業事例を正直に話します
「クレープのフランチャイズって、失敗しませんか?」
加盟を検討している方から、遠慮がちにこう聞かれることがあります。答えを先に言います。失敗します。サニーズクレープは19年フランチャイズをやってきて、現在34店舗が営業していますが、その裏で閉店していった店もあります。
この記事では、実際にあった廃業の事例を3つ、原因まで含めて正直に書きます。本部が自分の失敗を公開するのは勇気がいりますが、これから開業する人にとって一番役に立つのは、成功談ではなく失敗の中身だと思うからです。そして、その失敗から今の加盟基準がどう作られたのかまでお話しします。
ケース1:月商60万円でも続かなかった店
2009年、岐阜県の山あいの町でオープンした店の話です。オーナーは50歳の男性。仕事を失い、収入を確保するために開業を決めた方でした。自己資金が非常に少なかったため、中古のキッチンカーを改造しての船出でした。
結果から言うと、10ヶ月で閉店しました。原因は大きく2つあります。
1つ目は、車です。 資金の制約で選んだ中古車は車内が狭く、作業導線が悪い。クレープは立ちっぱなしで焼き続ける仕事なので、導線の悪さはそのまま体の負担になります。毎日の営業がつらい状態では、長くは続きません。
2つ目は、商圏です。 その町の人口は3万人ほど。田舎であること自体は問題ではありません。実際、サニーズには地方で長く続いている店がいくつもあります。問題は、周りを含めても人の集まる場所がない「孤立した土地」だったことです。スキー場への出店も試みましたが、売上の柱にはなりませんでした。
月商は良い月で60万円、悪い月は30万円ほど。60万円と聞くと悪くない数字に思えるかもしれませんが、車両の借入返済を抱えた状態で月30万まで落ちる月があると、生活が回りません。「良い月の数字」ではなく「悪い月の数字」で生活が成り立つか。これが継続できるかどうかの分かれ目です。
正直に言うと、この件は本部である私のリサーチ不足でもありました。だから閉店の際、キッチンカーは本部で買い取りました(本来はしていないことです)。借金は残りませんでしたが、50歳からの10ヶ月という時間は返せません。若い人なら失敗しても再起できます。しかし年齢を重ねてからの失敗は、資金と時間の両方を失うリスクが大きい。この経験は、今でも反省として残っています。
この失敗から変わったこと: まず、車内で立てない車は採用しなくなりました。クレープで車内に立てないのは、つらい以外の何ものでもありません。体を壊します。そして商圏調査を徹底するようになりました。基準は明確です。車で30分圏内に人口10万人。さらに大きなイベントが開催されるには、1時間圏内に20〜30万人の人口が必要です。最後に、自己資金があまりにも少ない方の加盟はお断りするようになりました。
ケース2:会社の「新規事業」として始めた店
2011年、大阪の葬儀会社が新規事業として開業したケースです。「スタッフ4人で持ち回りでやる」という計画でした。
結果は、3ヶ月で廃業です。持ち回りのスタッフは固定されず、営業は不安定になり、稼働日も少ない。誰の店でもない店に、お客さんは付きません。会社としても利益が出ず、撤退となりました。
キッチンカーのクレープ屋は、「その人の店」だから成り立つ商売です。毎週同じ場所に、同じ人が立っている。常連さんはクレープと一緒に、その人に会いに来ています。担当が毎回変わる店では、これが積み上がりません。
この失敗から変わったこと: 会社の新規事業・別事業としての加盟はお断りするようになりました。本人が専業でやることが前提です。
ただし、逆のパターンはうまくいきます。個人でサニーズを始めて、軌道に乗ってから法人化するオーナーは多いですし、そこから別事業に広げていく方もいます。順番の問題なんです。「会社が事業としてクレープ屋をやる」のは難しいが、「クレープ屋で立った人が会社になる」のは自然に起きる。この話は動画でも詳しくしています。
ケース3:引き継ぎで開業した店
2019年、愛知県でのケースです。ある店のオーナーが「自分の店を持つ」という目標をやり遂げて引退を決めたとき、知人に事業を引き継ぐことになりました。キッチンカーも出店場所も研修もある程度そのまま引き継ぐ形です。信頼するオーナーの紹介ということもあり、私も安心してしまいました。
これが失敗でした。通常の加盟であれば、開業前に時間をかけて行うことがあります。ノウハウだけでなく考え方から含めた研修、そして何より、その人自身の話をしっかり聞くこと。体力面、精神面、生活の事情、その人に合った営業のやり方。引き継ぎという形だったために、この時間を十分に取らないまま開業してもらうことになりました。
開業後、売上は低迷しました。商圏の問題に加え、オーナー自身が体調面の事情を抱えていたこともあり、2年ほどで廃業となりました。開業してからできるサポートには限りがあります。一番大事な仕事は、開業する前に終わっているんです。
この失敗から変わったこと: 事業の引き継ぎによる開業はやめました。そして加盟前の面談に、以前よりずっと時間をかけるようになりました。こちらの説明だけでなく、その人の人生観、生活スタイル、生活費の水準、体力。ここを理解しないまま開業させることはしません。
失敗しないために、いま設けている基準
振り返ると、3つの失敗はいずれもフランチャイズの初期に起きています。店舗がどんどん増えていく勢いのある時期でしたが、同時に、やめる店が多かったのもこの時期でした。1店舗ごとのサポートにかけられる時間は限られ、本部としてのノウハウもまだ蓄積されていませんでした。いま思えば、成功する基準はある程度備わっていたのに、「失敗する基準」を持っていなかった。誰が成功するかは分かっても、誰を止めるべきかが分かっていなかったんです。
3つの失敗を経て、現在のサニーズの加盟基準はこうなっています。
自己資金は150万円以上。 開業には車両を含めて総額200万円以上、その後の運転資金まで考えると300万円ほどの資金計画が必要です。借入は自己資金と同額程度が目安なので、逆算すると自己資金150万円が最低ラインになります。厳しく聞こえるかもしれませんが、150万円は本気で貯めれば2年で貯められる金額です。それが貯められることも、開業後にお金を管理していける力の証明だと考えています。費用の内訳はすべて料金・費用のページで公開しています。開業費用の全体像はこちらの記事にまとめています。
専業でやること。 会社の一事業や、片手間の副業では成り立ちません。
商圏の基準を満たすこと。 車で30分圏内に人口10万人。孤立した土地では、腕があっても難しい。
売上のライン。 専業で独身の方なら月商60万円以上を毎月安定して、家族がいる方なら月商80万円以上が目安です。一方、主婦の方が家計の柱を別に持ちながらやる場合、キッチンカーで赤字になることはほとんどありません。家賃という固定費がないからです。売上と手取りの実数は年収の記事に書いています。
そしてもう一つ。この基準に合わない方は、やる気があってもお断りしています。 一発当てて逆転、のような開業はさせません。クレープのキッチンカーは、堅実で再現性のある商売です。賭けにする必要がないし、賭けにした時点で失敗が始まります。厳しいことを言うようですが、その人の人生にとってプラスにならない開業を通すことのほうが、よほど不誠実だと思っています。
それでも失敗したら、どうなるのか
最後に、一番聞きにくいであろうことに答えておきます。
閉店の判断は、本人がします。本部としてアドバイスは最後までし続けますが、撤退を止めることはしません。「やめる」という言葉が出た時点で、その人はよく考え抜いています。そこから無理に続けさせて復活した例を、私は知りません。
兆候は月次の売上報告で分かります。昔はそこからできることが限られていましたが、今はオーナー同士のグループLINEや日々の相談体制があり、行き詰まる前に手を打てる仕組みがかなり整いました。実際、ここ数年で辞めたオーナーはいません。ただ、それでも本質は変わらないと思っています。開業後のサポート以上に、開業前にお互いをよく知ること。ここ数年失敗が出ていない一番の理由は、入口で時間をかけているからです。
フランチャイズと独立開業のどちらが向いているかはこちらの記事で比較しています。サニーズの加盟の詳細はフランチャイズのご案内へ。読んだうえで「自分は基準に合わないかもしれない」と感じた方は、その感覚も含めて面談で正直に話してください。合わなければ、合わないとこちらも正直に言います。それがお互いのためだと、3つの失敗が教えてくれました。
こういった経験があって、サニーズも私も強くなりました。強くなったというのは、失敗しにくくなったということです。失敗を隠すのではなく、失敗から作った仕組みごと見てもらう。それが19年やってきた本部にできる、いちばん誠実な情報公開だと思っています。