キッチンカーの出店場所の探し方|「探す」より「育てる」が正解です
キッチンカーを始めたい人から一番多く聞かれる質問が、「出店場所ってどうやって見つけるんですか?」です。
気持ちはよく分かります。車を用意して、メニューを決めて、営業許可を取って——ここまでは自分の努力でなんとかなる。でも場所だけは、相手があることです。19年この業界でやってきて、廃業していった同業者を何人も見てきましたが、原因はほぼ例外なく「場所」でした。腕でもメニューでもなく、場所です。
先に結論を言います。出店場所は「探す」ものではなく、「育てる」ものです。この記事では、場所の種類ごとの現実と、実際の探し方・交渉のやり方、そしてやってはいけないパターンまで、包み隠さず書きます。
出店場所には4種類ある
キッチンカーの出店場所は、大きく4つに分けられます。それぞれ、入りやすさも売上の安定度もまったく違います。
① スーパー・商業施設の敷地
平日の主戦場です。買い物客という「毎日来る人の流れ」があるので、一度定期出店の枠を取れれば売上が読めるようになります。手数料は施設によりますが、固定の場所代(1日数千円程度)か売上歩合のどちらかが一般的です。
難点は、入るまでのハードルです。飛び込みで「出店させてください」と言って即OKが出ることはまずありません。ただし、後述する交渉のやり方次第で道は開けます。
② 道の駅・観光地
土日の売上が大きい場所です。観光客はその場で食べるものを探しているので、クレープのような「歩きながら食べられるもの」との相性は抜群です。一方で、平日と冬場の落ち込みが激しく、ここだけに頼ると年間の売上が安定しません。
③ イベント出店
1日で普段の何倍も売れることがある、華やかな世界です。ただし正直に言うと、初心者が一番勘違いしやすいのもここです。出店料は数万円かかることが多く、雨が降れば出店料だけ払って赤字。人気イベントは出店枠の競争が激しく、実績のない新規は選考で落ちます。イベントは「たまのボーナス」であって、生活の土台にはなりません。
④ マッチングサービス
近年増えた、スペースとキッチンカーをつなぐサービスです。開業初期に場所ゼロの状態から出店実績を作るには便利で、使う価値はあります。ただし販売手数料(売上の10〜20%程度が相場)が引かれるので、ここだけで長く続けると利益が残りません。あくまで「最初の足がかり」か「空いた日の埋め合わせ」と考えるのが現実的です。
探し方の実際:直接交渉が最強です
遠回りに見えて一番確実なのが、直接交渉です。19年やってきた実感として、長く続いているキッチンカーは例外なく「自分で開拓した定期出店の場所」を持っています。
誰に話すか
スーパーなら店長、商業施設なら催事・テナント担当です。受付で「敷地でのキッチンカー出店についてご相談したいのですが、ご担当の方はいらっしゃいますか」と聞けば、たいてい取り次いでもらえます。担当者が不在なら、名刺と資料を置いて出直せばいい。一度で決めようとしないことです。
何を持っていくか
- 車両とメニューの写真(A4で1〜2枚にまとめたもの)
- 営業許可証のコピー
- PL保険(生産物賠償責任保険)の加入証明
この3点があるだけで、相手の警戒心は大きく下がります。施設側が一番恐れているのは「トラブルを起こす出店者」です。きちんとした人だと分かってもらうことが、条件の話より先です。
どう話すか
「出店させてほしい」ではなく、「お店にどんなメリットがあるか」から話します。買い物客の滞在時間が延びる、駐車場の空きスペースが収益になる、施設の集客イベントに協力できる——相手にとっての価値を先に出す。これだけで反応が変わります。
そしてもう一つ。断られても関係を切らないことです。半年後に「前に来てくれた人」として声がかかることは、本当によくあります。
失敗しやすい3つのパターン
イベント頼みになる。 前述のとおり、イベントは水物です。平日の定期出店という土台がないまま週末のイベントを追いかけると、天候と選考結果に生活が振り回されます。
場所を転々とする。 「今日はここ、来週はあっち」を続けると、お客さんが付きません。キッチンカーの売上を支えるのは、実は常連さんです。「毎週水曜はあそこにいる」と覚えてもらえて初めて、売上が安定します。
条件を確認せずに入る。 電源は借りられるのか、水はどうするのか、手数料はいくらか、雨天時のキャンセル規定はあるのか。ここを曖昧にしたまま出店して、後からもめるケースは後を絶ちません。口約束で始めず、条件は必ず書面かメッセージで残してください。
あるオーナーの話
サニーズの加盟店に、関東で営業しているオーナーがいます。開業当初は出店場所がなく、イベントとマッチングサービスでしのぐ日々でした。売上は良い月と悪い月の差が激しく、正直しんどそうでした。
転機は、近所のスーパーへの飛び込み交渉です。最初は断られましたが、資料を置いて帰り、別の店舗にも足を運び、数件目で「じゃあ試しに1回」と枠をもらえました。その1回で丁寧に営業して、掃除をして帰り、お礼の連絡を入れる。それを繰り返すうちに週1回が週2回になり、今ではその店の定期出店が売上の柱になっています。
特別な営業テクニックは何もありません。場所は探して見つかるものではなく、こうやって少しずつ育てていくものです。
まとめ:最初の1ヶ所の作り方
- 生活の土台になるのは、平日の定期出店(スーパー・商業施設)
- イベントとマッチングサービスは、ボーナスと足がかり。主軸にしない
- 直接交渉は「相手のメリット」から。断られても関係を続ける
- 条件は必ず確認して、記録に残す
- 1ヶ所を大事に育てれば、そこが実績になって次の場所につながる
出店場所の話は、収入と経費の話と表裏一体です。場所ごとの手数料が手取りにどう響くかは、クレープキッチンカーの年収の記事で実数を公開しています。開業にかかる費用の全体像はこちらの記事をどうぞ。
なお、サニーズクレープのフランチャイズでは、出店場所の探し方や交渉のやり方も研修と日々の相談の中でお伝えしています。一人で開拓するのが不安な方は、フランチャイズのご案内も参考にしてください。