クレープ屋の一日の売上はいくら?平日50食から花見1,500食まで【34店舗の実態】
クレープのキッチンカーは、一日にいくら売れるのか。
開業を考えている方から、いちばんよく聞かれる質問です。そして、いちばん答えがぼかされがちな質問でもあります。
サニーズクレープは全国で34店舗を展開しています。本部として各店の状況を見てきた立場から、この記事では「普通の日」の数字から「例外中の例外」まで、実態をそのまま書きます。
先に結論だけ言うと、平日は50〜60食、売上にして3.5〜4万円ほどが普通のラインです。夢のある数字ではないかもしれません。でも、この数字の意味を正しく知っているかどうかが、開業後の設計を大きく変えます。
平日の売上:50〜60食、約3.5〜4.2万円
クレープキッチンカーの客単価は、およそ700円です。トッピングの内容で上下しますが、計算の基準はここに置いてください。
平日の通常出店で売れるのは、50〜60食。
700円 × 50〜60食 = 35,000〜42,000円
これが「普通に営業できた平日」の売上です。天気が悪い日、場所が合わなかった日は、これを下回ります。
手元に残るのは売上の35〜45%
売上3万円がそのまま収入になるわけではありません。一日の売上から出ていくものを並べます。
- 原価(材料費):売上の約30%
- 出店料:平均して約10%(場所によって固定額のところも歩合のところもあり、幅があります)
- その他(ガス・ガソリン・容器・消耗品など)
これらを引いて、手元に残るのは売上の35〜45%程度。50%を超えれば熟練の域で、なかには6割という強者もいます。
平日50食の日で計算してみます。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 売上(50食 × 700円) | 35,000円 |
| 原価(30%) | -10,500円 |
| 出店料(10%) | -3,500円 |
| その他経費 | -7,000円前後 |
| 手元に残る額 | 約14,000円 |
一日働いて約14,000円。仕込みの時間も含めれば、日当として見ると決して楽な数字ではありません。ここだけ切り取ると「やめておこうかな」と思うかもしれません。
でも、クレープ屋の売上は、この数字のまま推移するわけではないのです。
土日・イベントの売上:80〜300食
土日や祝日、集客のある場所への出店では、数字が変わります。
- 通常の土日(商業施設など):80〜120食 = 約5.5〜8.5万円
- 大型イベント(祭り・フェスなど):150〜300食 = 10〜21万円
さらに、イベント主催者や企業がまとめて買い上げる「買取出店」では、一日400食という案件も実際にあります。買取の仕組みと相場は「キッチンカーの買取出店とは?相場と獲得方法」に詳しく書いているので、そちらをご覧ください。
例外中の例外:桜の花見で一日1,500食
サニーズの最高記録の話をします。ただし、最初にはっきり書いておきます。これは例外中の例外です。真似できる前提で読まないでください。
桜の花見シーズン、ある出店場所での記録です。
- 一日1,500食(売上にして約100万円)
- トラックタイプの車両1台
- 4人体制で、朝8時から夜8時まで12時間ぶっ通し
- ピークの年はこれが2日続き、期間中の土日は1,000食程度で推移
一人ではまず不可能です。4人で焼き続けて、ようやく届く数字です。
そしてもう一つ大事なことがあります。この数字は「たまたま当たった」のではなく、毎年同じ場所で出ているということです。何年もかけて場所との関係を築き、花見の名所の出店枠を持ち続けているから、例年この数字になる。
つまり例外なのは売上の桁ではなく、この場所を持てていること自体なのです。
分水嶺は「平日100食」──固定客がつくと景色が変わる
ここまでの数字を整理すると、こうなります。
- 平日50食:手元に約1.4万円。日当としては厳しい
- 土日イベント:まとまった売上になるが、毎日はない
では、うまくいっている店は何が違うのか。
固定客がついて、平日でも連日100食を超えるようになることです。
同じ場所に通い続け、「毎週◯曜日はあそこにクレープ屋が来る」と覚えてもらえること。そして来てくれた人に「また食べたい」と思ってもらえる味を出し、「この人から買いたい」と思ってもらえる接客をすること。この繰り返しで固定客が積み上がると、平日の売上が倍になります。100食なら売上7万円。手残りで2万円台後半から3万円ほど。平日が「耐える日」から「稼ぐ日」に変わります。
この状態で土日にイベント出店を重ねると、月商150万円程度まで届きます。手残りで言えば月50万円を超えてくる水準です。
ただし、正直に書きます。ここまで売る店の作業量は相当なものです。仕込みだけで数時間かかり、営業して、片付けて、また翌日の仕込み。一人でやるにはかなりきつい量で、週1日の休みでは持ちません。実際、これだけ売る店舗は最低でも週2日休んでいるところがほとんどです。
売上の数字だけ見て「月150万、いいな」と思ったら、その裏にある作業量と休み方までセットで見てください。
一日の売上は「その日」ではなく「それまで」で決まる
最後にこの記事の結論です。
クレープ屋の一日の売上は、平日50食から花見の1,500食まで、同じ商売とは思えないほどの幅があります。この幅を分けているのは、運ではありません。どの場所に、どれだけ通ってきたか。そして、また食べたいと思われる味と、「この人から買いたい」と思われる接客があるかどうかです。
同じ場所に通い続けても、味と接客がなければ固定客はつきません。逆に、どれだけ腕が良くても、通う場所を育てなければ出会う人の数が増えません。両方そろって、初めて平日100食が見えてきます。
そして、これは逆方向にも働きます。味がおいしくない。接客がよくない。車が汚い。お客様にとって不快な点があれば、やればやるほど、稼働日を増やせば増やすほど、マイナスが積み上がっていきます。 おいしくないクレープを提供すればするほど、お客様は減っていく。通った回数が信頼になるのと同じ仕組みで、通った回数が「あの店はやめておこう」を広げてしまうのです。
あなたの今日の売上は、3か月前、6か月前にあなたが提供したクレープの味とクオリティ、そして接客が作っています。
- 初めての場所の平日は50食からのスタート
- 通い続けて固定客がつけば、平日100食が見えてくる
- 育てた場所は、イベントシーズンに桁違いの数字を返してくれる
つまり「一日の売上」は、その日の頑張りではなく、それまでの積み重ねの結果として決まります。場所も、味も、接客も、すべて仕込みです。出店場所を「探す」のではなく「育てる」という考え方については、「キッチンカーの出店場所の探し方」に詳しく書きました。
月間・年間でいくら残るのか、経費と手取りの全体像は「クレープキッチンカーの年収はいくら?」をどうぞ。
サニーズクレープは2007年の創業から、フランチャイズという形で34店舗まで広がってきました。開業を検討している方の質問には、この記事のように実態ベースでお答えしています。気になることがあれば、お問い合わせフォームからどうぞ。