キッチンカーの買取出店とは?相場と獲得方法【クレープ指定の案件が多い理由】
キッチンカーの出店には、実は2つの形があります。
ひとつは、出店料を払って自分で売る通常出店。もうひとつが、主催者がキッチンカーの商品をまとめて買い取り、来場者に無料で振る舞う買取出店です。
買取出店は、売上が事前に確定する、キッチンカー営業でもっとも安定した収益源です。そして業界の実情として、買取案件は「クレープ指定」が多い。この記事では、全国34店舗のクレープキッチンカーを展開する本部として、買取出店の仕組み・相場・収益性の違い・案件の獲得方法・注意点までを解説します。
イベントにクレープのキッチンカーを呼びたい方・買取出店を依頼したい方は、出店のご依頼ページをご覧ください。
買取出店の仕組み
一般的な買取出店は、こういう契約です。
- 主催者(企業・イベント会社)が「クレープ◯◯食分」を買い取る
- 来場者には無料で配布される(またはチケット制)
- 売上は来場者からではなく、主催者から支払われる
つまりキッチンカー側から見ると、「何食売れるか」を天気や客足に賭ける通常出店と違い、出店する前から売上が確定している営業です。
相場:クレープの場合、100食・70,000円(税込)〜が目安
買取出店は週末に呼ばれることが多く、クレープの場合は100食を目安にした案件が一般的です。金額は70,000円(税込)〜。交通費を別途請求できる場合もあります。
ただし100食は入口の数字です。主催する会社の規模によって、200食・400食・600食という案件もあります(600食級になると1台では対応できません。これは後述します)。
主催者側から見た費用の全体像(通常出店・売上保証を含む3形式と仲介手数料の実態)は、キッチンカーを呼ぶ費用はいくら?で解説しています。
収益性:通常出店とどれだけ違うか
同じ「1日で7万円分のクレープを提供する」場合で比べてみます。
通常出店の場合
- 売上7万円(そもそも売れるかどうかは当日次第)
- 出店料を支払う(仮に10%なら −7,000円)
- 交通費は自己負担
買取出店の場合
- 売上7万円が事前に確定
- 出店料は不要
- 交通費を請求できる場合あり(仮に+5,000円)
単純計算で、利益ベースで12,000円の差。しかも通常出店の売上は天候や客足で大きくブレるのに対し、買取は確定です。雨が降っても7万円は7万円。この安定性が、買取出店の最大の価値です。
売上・年収の記事で「雨天は売上8割」「夏は閑散期」と書きましたが、買取出店はそうした変動リスクの外側にある収益源です。月の中に買取案件が何件かあるだけで、収支の底が大きく安定します。
どんな案件が多いか——そして、なぜクレープ指定なのか
買取出店の発注元として多いのは、
- 住宅展示場(昔から定番)
- 企業の納涼祭・社内イベント
- 車のディーラー(展示会・フェア)
- 携帯ショップ(キャンペーン)
- 文化祭、地域行事、企業の福利厚生
住宅展示場・企業納涼祭・車・携帯は、昔から変わらず多い発注元です。
そして業界の実情として、こうした案件は「クレープで」と指定されることが多い。理由ははっきりしています。
- 幅広い層に受け入れられる(子どもから年配まで、嫌いな人が少ない)
- 集客力がある(「クレープ無料」を目当てに来場する客が実際に多い。主催者にとって集客装置になる)
- シズル感(目の前で生地を焼き、その場で巻いて手渡す。イベントの演出として映える)
- 子どもに人気(ファミリー集客イベントとの相性が抜群)
主催者が欲しいのは「来場者を集め、喜ばせる装置」です。クレープはその条件を高い水準で満たすため、指定買いが起きます。
現実の話:100食を捌く提供力がないと、受けられません
ここまで読むと「買取出店は美味しい話」に見えますが、正直な現実を書きます。
買取100食は、焼き続けてようやく捌ける量です。当店の店舗の平均的な提供ペースは1時間に30食。つまり100食の案件は、3時間以上、休みなく焼き続ける計算です。トップクラスに速いオーナーで1時間60食ですが、それは例外的な速さで、誰でも出せる数字ではありません。
だからこそ、焼き器の記事で書いた機材選びが効いてきます。火力の弱い家庭用バーナーでは、そもそもこの提供ペースが物理的に出せません。強い焼き器と、鍛えられたオペレーションを備えたキッチンカーでないと、買取案件は受けられないのです。安定収益の入口には、それに耐える体制という前提条件があります。
なお、200食・400食を超える大型案件になると、1台の限界が来ます。当店では600食規模の依頼の場合、近隣店舗と連携して2台体制で出店することがあります。これは全国に店舗網があるからできる対応で、1台で営業する個人には構造的に受けられない案件です。
獲得方法:個人1年目には、正直厳しい
買取案件はどうやって取るのか。ルートは主に3つです。
- イベント会社とのつながり——一度買取で呼ばれてイベント会社と関係ができると、毎回声がかかるようになります。買取出店は「実績の再生産」で回っている世界です
- 直接営業——住宅展示場や企業に自分で売り込む。可能ですが、実績ゼロでは信用の壁があります
- FC本部経由——フランチャイズの場合、本部にまとまった依頼が入り、各店舗に振り分けられます
正直に書くと、開業1年目の個人が買取案件を取るのは厳しいです。発注側は「確実に、時間内に、全数を提供できる相手」にしか任せません。実績も紹介もない状態では、そもそも声がかかりにくい。
フランチャイズの安心材料のひとつがここです。本部への依頼という形で、開業初期から買取案件に入れるルートがあります。個人開業とフランチャイズの比較記事で「1年目は場所探しに苦労する」と書きましたが、買取出店はその苦労がとりわけ出やすい領域です。
そして、こうした買取案件が多いことは、当店の店舗が続いている理由のひとつでもあります。キッチンカーは「1年で5割、3年で8割が廃業する」と言われる世界です。天候にも季節にも左右されない確定収益が月々の収支を下支えする——その積み重ねが、店を長く続ける力になっています。
注意点:一度の失敗で、二度と呼ばれません
最後に、買取出店で絶対に外してはいけないポイントです。
- 急なキャンセルと確認ミスに注意——日時・食数・提供形式の確認は綿密に
- 待たせないオペレーション——提供数が多いので、通常営業と同じ段取りでは回りません
- チケット制の場合は打ち合わせを綿密に——引き換え方法、提供時間帯、数の管理
- 「提供数が足りない」「時間がかかりすぎる」は致命傷——来場者に迷惑がかかり、主催者の面目を潰し、間に入ったイベント会社の信頼も損ないます。そして二度と呼ばれません
買取出店は「実績の再生産」で回る世界だと書きました。裏返せば、一度の失敗が再生産を断ち切ります。確実に捌ける食数だけを受け、受けた以上は絶対に守る。それが買取出店で長く呼ばれ続ける唯一の方法です。
まとめ
- 買取出店=主催者が商品を買い取り、来場者に無料配布する出店形態。売上が事前に確定する
- クレープの相場は100食・70,000円(税込)〜(+交通費請求可の場合も)。企業規模により200〜600食の案件もある
- 通常出店と比べ、利益ベースで1万円以上の差が出る計算。天候リスクの外にある安定収益
- クレープ指定が多い理由:万人受け・集客力・シズル感・子ども人気
- ただし100食=平均ペースで3時間強焼き続ける量。機材とオペレーションが前提条件
- 獲得ルートはイベント会社とのつながり・直接営業・FC本部経由。1年目の個人には厳しい
- 提供数不足・遅延は致命傷。一度の失敗で二度と呼ばれない
イベントにクレープのキッチンカーを呼びたい・買取出店を依頼したいという主催者の方は、出店のご依頼ページからご相談ください。会場に近い店舗が対応し、費用の目安も公開しています。
開業費用・収入・開業形態・機材については、こちらの記事で公開しています。
- クレープキッチンカーの開業費用はいくら?【34店舗を展開する本部の実例】
- クレープキッチンカーの年収はいくら?経費と手取りまで全部公開
- キッチンカーは個人開業とフランチャイズどっちがいい?【FC本部が正直に書きます】
- クレープ焼き器の選び方——ガス式・電気式・バーナー式を専門店が比較