クレープキッチンカーの年収はいくら?経費と手取りまで全部公開
クレープのキッチンカーは、実際いくら稼げるのか。
結論から書きます。週休2日でしっかり稼働して月商100〜120万円が一般的なラインです。積極的に出店する人気店で月商150万円。そして、1人で回すクレープキッチンカーで月商200万円は、構造的に売り上げられません。
ネットには「キッチンカーの年収は700〜800万円」「頑張れば1,000万円」といった数字が並びますが、それがどの業態の、どんな稼働の話なのかはほとんど書かれていません。この記事では、全国34店舗のクレープキッチンカーを見てきた本部として、稼働スタイル別の月商レンジ、1日の売上目安、経費の内訳、そして下振れする月の現実まで、実数で書きます。
稼働スタイル別:月商のリアルなレンジ
クレープキッチンカーの売上は、才能よりもまず出店日数で決まります。34店舗を見てきた実感として、月商はおおむね次の3つのレンジに分かれます。
| 稼働スタイル | 出店日数 | 月商の目安 |
|---|---|---|
| のんびり稼働 | 週3〜4日 | 40〜70万円 |
| スタンダード | 週休2日(月22日前後) | 100〜120万円 |
| 積極稼働の人気店 | 週休2日+イベント中心 | 150万円 |
月商150万円は、平日は固定の場所に出店し、週末はイベントに出る——という稼働を月22日続けた人気店の数字です。正直に言うと、これはかなり大変です。仕込み、移動、営業、片付けを1人で回し続ける体力勝負になります。
そして月商200万円は、クレープでは構造的に無理です。クレープは1枚ずつ焼く商材で、1人のオーナーが1日に提供できる枚数には物理的な上限があります。スタッフを雇えば提供数は増えますが、後述する通り人件費で利益が大きく削られるため、「売上200万・手残りはむしろ減った」ということが起きます。売上の上限が構造的に決まっている——これはクレープという業態を選ぶ上で、最初に知っておくべき事実です。
日商・月収でいうと、どのくらいか
月商という単位に馴染みがない方のために、1日あたりと手取りの感覚に置き換えておきます。
週休2日(月22日前後)で月商100〜120万円というのは、日商にすると4.5〜5.5万円です。のんびり稼働の月商40〜70万円も、日商の水準そのものが低いわけではなく、稼働日数が少ないぶん月商が下がっている、というのが実態に近い。1日ごとの内訳は次の章で見ていきます。
もうひとつよく聞かれるのが、「では月収はいくらになるのか」という質問です。月商は売上であって、月収(手取り)ではありません。ここから食材原価・出店料・燃料費などを引いた残りが、手元に入るお金です。その計算は、この後の経費の章で実数を出します。
先に、判断に必要なことをひとつだけ書いておきます。月商60万円は、目標ではなく最低ラインです。専業で独身の方なら月商60万円以上、家族を養うなら月商80万円以上——これを毎月安定して超えられるかどうかが、続けられるかどうかの分かれ目になります。スタンダードな稼働なら100〜120万円が見えている仕事です。ただ、そこに届かない月が続けば生活は回らない。この2つの数字は、同じ話の表と裏です。
1日の売上目安
月商を分解すると、1日あたりの売上はこうなります。
- 平日の通常出店:2〜4万円
- イベント出店:6万円
- 大型イベント:10万円
この数字をひとつの目安にしてください。「平日2〜4万」を積み上げ、週末のイベントで6〜10万を取る。これがスタンダード〜人気店の月商100〜150万円の中身です。
逆に言うと、平日にまったく売れない場所に出続けると、月商は一気に「のんびり稼働」のレンジまで落ちます。どこに出るかが、どれだけ働くかと同じくらい売上を左右します。
経費の内訳——売上の何%が手元に残るのか
売上を100としたときの、経費の目安です(当店のYouTube「相場シリーズ」経費編で解説している数字と同じものです)。
| 項目 | 売上比 |
|---|---|
| 原価(材料費) | 30 |
| 出店料 | 10 |
| 包材 | 5 |
| 車両関連費 | 8 |
| 決済手数料 | 2 |
| 水道光熱費・交通費・通信費など | 10 |
| 営業利益(手残り) | 35 |
経費の実態は、動画でも詳しく話しています。
手残りの目安は売上の35%。できれば40%以上を目指したいところです。熟練のオーナーだと35〜50%、なかには6割という強者もいます。飲食店の平均営業利益率が約10%と言われるのに対し、キッチンカーは35〜45%が狙える——ここがこの業態の最大の強みです。
ただし、この内訳には注意点が2つあります。
出店料の「10%」は本来の目安であって、実態ではありません。単発のイベントでは出店料が固定制のことも多く、「出店料1万円・売上2万円=実質50%」という日も起こり得ます。売れる見込みと出店料のバランスを見ずに申し込むと、働いたのに残らない日ができます。
アルバイトを雇うと、人件費の相場は売上の10〜20%。営業利益35%が15%まで落ちる計算です。だからクレープキッチンカーは基本的に「1人で回す」前提の商売であり、それが月商200万円が構造的に無理な理由でもあります。
年収に換算すると
月商×営業利益率で、手残り(税引き前)を計算してみます。
- スタンダード(月商100〜120万・利益35%):月35〜42万円 → 年420〜500万円前後
- 人気店(月商150万・利益35%):月約52万円 → 年600万円強
- のんびり稼働(月商40〜70万・利益35%):月14〜25万円 → 年170〜300万円
ネットでよく見る「年収700〜800万円」は、クレープ1台・1人稼働では現実的ではありません。逆に、週休2日でちゃんと働けば会社員の給与水準は十分に狙える。誇張も悲観もせず言えるのは、この範囲です。
なお、これは12ヶ月ずっと平均月商が続いた場合の計算です。実際には次に書く「下振れする月」があります。
正直に書きます——下振れの現実
1年目は、この数字通りにいきません。
- 出店場所がなかなか見つからない。見つけるのに時間がかかる
- やっと出店できても、最初は売れない
- 良いイベントは申し込みが埋まるのが早く、間に合わない
初年度は「場所探しと試行錯誤の1年」です。上のレンジに乗ってくるのは、出店先が固まってからだと考えてください。
季節変動:クレープは夏が売れません。
意外に思われるかもしれませんが、クレープの閑散期は冬ではなく夏です。特に6・7・8月が厳しい。原因は、暑さでクリームが敬遠されることです。気温が30度を超えると、クリームを使うメニューの売上ががたっと落ちます。35度を超えたら、かき氷一択です。このため、夏場はかき氷に切り替える店舗、クレープと併用する店舗が多くあります。夏をどう乗り切るかは、クレープキッチンカーの年間収支を左右する大きなテーマです。
雨の日は、売上がおよそ8割に落ちます。屋外商売なので天候の影響は避けられません。月の収支は「晴れた日の売上で、雨の日と夏を支える」構造だと理解しておいてください。
なお、天候に左右されない収益源として「買取出店」という形態があります。キッチンカーの買取出店とは?相場と獲得方法で解説しています。
オーナーたちが語った「一番つらかった瞬間」の生の声は、キッチンカーオーナー28人に聞いた開業のリアルにまとめています。
まとめ:クレープキッチンカーの売上・年収
- 月商の一般的なライン:週休2日で100〜120万円。人気店で150万円。200万円は構造的に無理
- 1日の目安:平日2〜4万円、イベント6万円、大型イベント10万円
- 手残りは売上の35%が目安(できれば40%以上を目指す)。年収換算でスタンダード420〜500万円前後
- 1年目は場所探しで数字が出にくい。夏(6〜8月)が閑散期。雨天は売上8割
- 売上を決めるのは「出店日数」と「出店場所」
数字を盛るつもりも、脅すつもりもありません。34店舗の実態は、おおむねこの記事の範囲に収まっています。これから開業を考える方は、「最高の月」ではなく「平均の月と、悪い月」で資金計画を立ててください。
開業費用の実額については、こちらの記事で見積書ベースで公開しています。
クレープキッチンカーの開業費用はいくら?【34店舗を展開する本部の実例】
個人開業とフランチャイズ、どちらを選ぶべきかについては、こちらで判断基準を書いています。
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